よくある質問

借金や損害賠償金などの時効に関する法律が変わったと聞きました。いつから、どのように変わったのでしょうか。

借金や損害賠償金などの権利(債権)は、一定期間、請求も支払もない状態が続いた場合、消滅時効によって行使することができなくなりました。

消滅時効について、民法の一部を改正する法律(以下「改正法」といいます。)が成立し、2020年4月1日から施行されました。
この施行日以前の原因(契約や事故など)に基づく権利については改正法の適用はなく、改正前の法律が適用されます。

以下の説明は、2020年4月1日以降に発生した債権についてのものです。
改正法において、消滅時効の期間は次のとおり定められています。

  1. 通常の債権

    ①権利者が権利を行使することができることが知った時から5年間
    ②権利を行使することができる時から10年間
    のいずれか短い期間で消滅します。

    売掛金や貸付金など通常の取引で発生する債権については、①の期間、つまり支払期限から5年間で消滅時効になるものと考えていただいて構いません(②が問題になるのは特殊な場合に限られます。)。
    この点、改正前の法律では、消滅時効の期間は権利を行使することができる時から10年間(例外もあります。)と定められていましたので、消滅時効の期間は原則的に短縮されたといえます。
    たとえば、AがBに対して2020年4月1日に100万円を貸し付け、支払期限を同年12月31日と取り決めたとします。
    この貸付について請求も支払もないまま支払期限から5年間を経過した、令和7(2025)年12月31日が過ぎると、消滅時効が完成します

  2. 不法行為などによる損害賠償債権

    交通事故(不法行為)などによる損害賠償債権の消滅時効期間は、次のとおり定められています。

    1. 生命・身体に関する損害賠償請求権(事故による死亡・傷病など)
      損害及び加害者を知った時から5年間
      権利を行使することができる時(不法行為の時)から20年間
    2. それ以外の不法行為に基づく損害賠償請求権(交通事故による物損など)
      損害及び加害者を知った時から3年間
      不法行為の時から20年間

    とりわけ生命・身体に関する損害賠償債権については、通常の債権より被害者を保護するものとなっています。
    たとえば、Aが2020年4月1日に自動車を運転していた際、ひき逃げ事故に遭い、けがをした上に自動車が壊れたとします。
    Aが2020年5月1日にひき逃げの加害者がBであることを知ったとすると、自動車の修理費用などについては2023年5月1日までに、けがの治療費・慰謝料などについては2025年5月1日までに請求をする必要があります。

    また、ひき逃げの加害者が分からないまま事故から20年後の2040年4月1日が過ぎると、消滅時効になり請求できなくます。


なお、以上の内容は原則に沿った説明であり、個別の事案によっては消滅時効の期間が異なる場合もあります。まずはお気軽にご相談ください。

 


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